MENU
医療機関名
糖尿病と肥満症のクリニック五反田院
診療科目
内科・糖尿病内科・内分泌内科
オンライン診療時間
9:00〜22:00(年中無休)
所在地
〒1410031 東京都 品川区西五反田7-13-2 金剛マンション201号

マロリーワイス症候群とは?病院 行かないやばい?激しい嘔吐・飲酒が原因など解説

飲み会で激しく嘔吐した後、血を吐いてしまった。咳き込んだ後に吐血した。このような経験はありませんか。それは「マロリーワイス症候群」かもしれません。

この記事では、消化器内科の専門医の監修のもと、マロリーワイス症候群について、その原因から症状、検査、そして最新の治療法までを網羅的に解説します。

「病院に行かなくても治る?」「命に関わるの?」といった疑問にも明確にお答えします。吐血という症状に不安を感じている方は、ぜひ最後までお読みいただき、適切な行動をとるための知識を得てください。

目次

マロリーワイス症候群とは

マロリーワイス症候群の概要

マロリーワイス症候群とは、激しい嘔吐などを繰り返すことによって、食道と胃の境目(食道胃接合部)付近の粘膜が縦に裂けて出血する病気です。

私たちの体は、嘔吐する際に胃の内容物がスムーズに逆流するようになっています。しかし、アルコールの飲み過ぎなどで急激かつ反復的に嘔吐すると、食道下部の筋肉が十分に緩む前に、腹圧の急上昇によって胃の内容物が食道へ強力に押し上げられます。この時、食道と胃のつなぎ目部分に強い圧力がかかり、粘膜が圧力に耐えきれずに「ビリッ」と裂けてしまうのです。

この裂けた部分には血管が走っているため、そこから出血が起こり、吐血や下血といった症状が現れます。吐血をきたす疾患の中では比較的頻度が高く、上部消化管出血(食道・胃・十二指腸からの出血)全体の約5〜10%を占めると報告されており、決して珍しい病気ではありません。

マロリーワイス症候群の英語名

マロリーワイス症候群は、英語では「Mallory-Weiss syndrome」または「Mallory-Weiss tear」と表記されます。これは、1929年にアルコール依存症患者の症例からこの病態を初めて詳細に報告した、2人のアメリカ人医師、G. Kenneth Mallory(マロリー)とSoma Weiss(ワイス)の名前に由来しています。

関連する疾患:特発性食道破裂(ブールハーフェ症候群)との違い

マロリーワイス症候群と似たような状況(激しい嘔吐後)で発症し、緊急の対応が必要な非常に重篤な疾患に「特発性食道破裂(ブールハーフェ症候群)」があります。

両者は発生のメカニズムは似ていますが、損傷の深さが全く異なり、重症度も天と地ほどの差があります。この二つを正確に鑑別することは、患者さんの生命予後を左右するうえで極めて重要です。

項目 マロリーワイス症候群 特発性食道破裂(ブールハーフェ症候群)
損傷の深さ 粘膜~粘膜下層までの裂傷
浅い傷
食道壁の全層が断裂(穿孔)
貫通する深い穴
主な症状 吐血、黒色便 突然の激しい胸痛、背部痛、呼吸困難
重篤度 ほとんどは予後良好 致命的となりうる極めて重篤な状態
治療 内視鏡的止血術が中心 緊急外科手術が必須

簡単に言うと、マロリーワイス症候群は食道の「内壁の表面が裂ける」だけですが、食道破裂は食道の「壁そのものが破裂して穴が開く」状態です。

食道が破裂すると、胃の内容物や消化液、空気が胸の中(縦隔)に漏れ出し、重篤な感染症(縦隔炎)や敗血症を引き起こします。食道破裂は診断や治療が一刻を争う救急疾患であり、迅速な外科手術を行わなければ死亡率が非常に高い病気です。嘔吐後に吐血ではなく、突然の激しい胸痛や背中の痛みを感じた場合は、ただちに救急車を呼んでください。

マロリーワイス症候群の症状

マロリーワイス症候群の症状は、食道胃接合部からの出血に起因します。出血の量や性状によって、現れる症状は異なります。

吐血(鮮血を吐く)

最も典型的で代表的な症状が吐血です。多くの場合、特徴的な経過をたどります。

  1. 最初は、アルコールや食べた物、胃液などを繰り返し嘔吐する。
  2. 嘔吐を繰り返しているうちに、突然、鮮やかな赤い血(鮮血)を吐く、または吐瀉物に鮮血が混じる。

このように、先行する嘔吐の後に吐血が見られるのが典型的なパターンです。出血部位が口に近いため、血液が胃酸の影響をあまり受けずに排出されることで、黒っぽい血ではなく鮮やかな赤色となります。出血が動脈から起きている場合は、出血量が多くなり、何度も繰り返し吐血することがあります。

下血(黒色便・タール便)

出血量が比較的少ない場合や、出血が自然に止まった場合、吐血としては現れず、血液が胃から腸へと流れていくことがあります。

この血液は、腸を通過する過程で胃酸や消化酵素の影響を受け、血液中のヘモグロビンが酸化されて黒く変色します。その結果、便がまるでイカ墨や海苔の佃煮のように、ドロリとした真っ黒な便(黒色便またはタール便)として排出されます。

吐血はなくても、嘔吐の後に黒い便が出た場合は、マロリーワイス症候群を含む上部消化管からの出血を強く疑うサインです。

その他の随伴症状(腹痛・貧血など)

出血が主な症状ですが、出血量や体の状態によっては、以下のような症状を伴うことがあります。

  • 心窩部痛(みぞおちの痛み): 粘膜が裂けることによる、比較的軽度な痛みを伴うことがあります。
  • めまい・ふらつき・立ちくらみ: 出血によって貧血が進行すると、脳への血流が不足し、これらの症状が現れます。
  • 冷や汗・動悸・息切れ・顔面蒼白: これらは貧血がさらに進行したサインです。
  • 意識が遠のく・血圧低下: 大量出血により「出血性ショック」という非常に危険な状態に陥っているサインです。命に関わるため、直ちに救急要請が必要です。

マロリーワイス症候群の主な原因

マロリーワイス症候群は、腹腔内の圧力が急激に高まり、食道に過剰な物理的ストレスがかかることで引き起こされます。

繰り返す嘔吐や悪心(おしん)

最も一般的な原因は、激しく繰り返す嘔吐や、吐き気をこらえる「えずき」(悪心)です。 具体的には、以下のような状況が引き金となります。

  • 飲酒後: アルコールの過剰摂取による嘔吐は、マロリーワイス症候群の最大の誘因です。忘年会や新年会シーズンに患者さんが増える傾向があります。
  • つわり(妊娠悪阻): 妊娠初期の激しいつわりによる反復性の嘔吐も、特に若い女性における原因となります。
  • 食中毒やウイルス性胃腸炎: ノロウイルスなどの感染症による激しい嘔吐も原因となり得ます。
  • 乗り物酔い: 感受性が強い人の場合、強い乗り物酔いによる嘔吐でも発症することがあります。
  • 過食症による自己誘発性嘔吐: 摂食障害が背景にある場合もあります。

アルコールの多飲(飲み過ぎ)

アルコール、特に飲み過ぎは、マロリーワイス症候群の「最強の引き金」と言えます。その理由は2つあります。

  1. 嘔吐を誘発する: アルコールは中枢神経に作用して嘔吐中枢を刺激し、直接的に嘔吐を引き起こします。
  2. 胃・食道の粘膜を荒らす: アルコールは胃酸の分泌を促進し、粘膜を直接刺激して傷つきやすい状態にします。

このように、アルコールは「嘔吐という圧力」と「粘膜の脆弱化」の両方を引き起こすため、マロリーワイス症候群のリスクを著しく高めます。実際に、患者の約40〜60%に多量の飲酒歴があるとの報告もあり、特に働き盛りの30〜50代男性では、飲酒が最大の原因と考えられています。

その他、腹圧が上昇する行為

嘔吐ほど頻度は高くありませんが、以下のように腹圧が急激に上昇する行為が原因となることもあります。

  • 激しい咳(喘息発作など)やくしゃみ
  • 重いものを持ち上げる際の強いいきみ
  • 便秘で排便する際の強いいきみ
  • てんかんなどのけいれん発作
  • 心肺蘇生時の胸骨圧迫

これらの行為でも、食道と胃のつなぎ目に強い圧力がかかり、粘膜が裂けてしまう可能性があります。

マロリーワイス症候群を放置するリスク|病院へ行くべきか

「お酒を飲んで血を吐いたけど、少ししたら止まったみたいだし、病院に行くほどでもないかな?」と安易に考えてしまう方もいるかもしれません。しかし、その自己判断は極めて危険です。

自然治癒の可能性は?病院に行かない選択肢はありえるか

マロリーワイス症候群による出血の約80〜90%は、特別な治療をしなくても自然に止血すると言われています。裂けた傷が浅く、小さな血管からの出血であれば、体の止血機能によって自然に治癒することが多いのは事実です。

しかし、これはあくまで統計的なデータであり、結果論に過ぎません。あなた自身の出血が、自然に止まる80〜90%に入るのか、それとも止まらない10〜20%に入るのかを、自分で判断することは絶対に不可能です。 病院に行かないという選択肢は、大量出血という重篤なリスクを放置することになり、決して選ぶべきではありません。

大量出血による出血性ショックのリスク

もし裂けた傷が深く、動脈などの太い血管を巻き込んでいた場合、出血は自然には止まらず、大量出血に至る危険性があります。

体内の血液が急激に失われると、血圧が急激に低下し、脳や心臓、腎臓といった重要な臓器に十分な血液を送り届けることができなくなります。この状態を「出血性ショック」と呼びます。出血性ショックは、意識障害や臓器不全を引き起こし、迅速かつ適切な治療(輸液、輸血、止血処置)が行われなければ、命を落とす可能性のある非常に危険な状態です。

吐血や黒色便が見られたら速やかに医療機関へ

吐血や黒色便は、消化管のどこかから出血していることを示す、体からの明確なSOSサインです。

その原因が比較的軽症で済むことが多いマロリーワイス症候群なのか、あるいは胃潰瘍や十二指腸潰瘍、食道静脈瘤破裂といった、より重篤な病気なのかを特定し、適切な治療を受けることが何よりも重要です。

特に、以下のような症状が見られる場合は、緊急性が非常に高いため、救急車を呼ぶこともためらわないでください。

  • 何度も繰り返し吐血する
  • めまいやふらつき、強い立ちくらみがする
  • 冷や汗が出る、顔色が悪く、唇が白い
  • 意識がもうろうとする、呼びかけへの反応が鈍い

マロリーワイス症候群の検査・診断方法

マロリーワイス症候群が疑われる場合、医療機関では迅速な診断のために、問診と内視鏡検査を中心に行います。

問診の重要性

正確な診断を下すために、医師はまず患者さんから詳しい状況を聴取します。これは診断の重要な手がかりとなります。

  • 吐血の状況: いつから、どのような状況で吐血したか(飲酒後、つわりなど)、吐血の前に嘔吐はあったか
  • 出血の性状: 吐血の量や色(鮮血か黒褐色か)、回数
  • その他の症状: 黒色便の有無、腹痛や胸痛、めまいなどの随伴症状
  • 背景: 既往歴(特に肝硬変、胃潰瘍など)、飲酒・喫煙歴、妊娠の可能性
  • 服用中の薬: 特に血液をサラサラにする薬(抗血小板薬や抗凝固薬)を服用しているかは、止血治療の方針を決める上で非常に重要です。

これらの情報から、医師はマロリーワイス症候群の可能性を考え、他の出血性疾患との鑑別を進めていきます。

上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)

マロリーワイス症候群の確定診断のために必須となるのが、上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)です。 口または鼻から細いスコープ(カメラ)を挿入し、食道、胃、十二指腸の粘膜を直接、リアルタイムで観察します。

この検査により、以下の極めて重要な情報を得ることができます。

確認項目 詳細
裂傷の部位と深さ 食道と胃のつなぎ目を中心に、粘膜に縦方向に走る裂傷があるかを確認します。
出血の有無と程度 「今まさに出血しているか(活動性出血)」「血の塊(凝血)が付着しているだけか」「血管が露出しているだけか」などを詳細に評価します。この評価(Forrest分類など)は、治療方針の決定に直結します。
他の疾患の除外 吐血の原因となりうる、胃・十二指腸潰瘍や食道がん、食道静脈瘤といった他の重大な病気がないかを確認します。

内視鏡検査の最大の利点は、診断と同時に、後述する内視鏡的止血術という治療をその場で行える点にあります。そのため、上部消化管出血が疑われる患者さんに対しては、原則として緊急で内視鏡検査が行われます。

血液検査

血液検査では、全身の状態を把握します。ヘモグロビン値(Hb)を測定して貧血の程度を評価し、出血量を推定します。この値は、輸血が必要かどうかを判断するための重要な指標となります。また、肝機能や腎機能、血液の固まりやすさ(凝固能)なども同時に調べ、安全な治療方針を立てるための参考にします。

マロリーワイス症候群の治療法

治療法は、内視鏡検査で確認された出血の程度によって大きく異なります。出血の状況に応じて、最適な治療方針が選択されます。

保存的治療(自然止血が期待できる場合)

内視鏡で観察した際に、すでに出血が完全に止まっており、血管の露出もなく再出血のリスクが低いと判断された場合は、外科的な処置を行わない「保存的治療」が選択されます。

絶食と補液

傷ついた粘膜を安静に保ち、修復を促すために、一時的に食事や飲水を中止します(絶食)。 絶食中は脱水状態や栄養不足に陥らないよう、点滴によって水分や電解質、栄養を補給(補液)します。

薬物療法(制酸薬など)

胃酸は、出血部位の血の塊(血餅)を溶かしたり、傷の治りを妨げたりする可能性があります。そのため、胃酸の分泌を強力に抑える薬(プロトンポンプ阻害薬:PPIや、H2ブロッカーなど)を点滴または内服で使用します。 これにより、胃内のpHを中性に近づけ、出血部位の安静を保ち、粘膜の治癒を促進します。

内視鏡的止血術(出血が持続・再発する場合)

内視鏡検査時に、ピューピューと血が噴き出している(拍動性出血)、あるいはジワジワと出血が続いている(湧出性出血)のが確認された場合や、太い血管が露出していて再出血のリスクが高いと判断された場合には、内視鏡を使ってその場で止血処置(内視鏡的止血術)を行います。

いくつかの方法があり、出血の状況に応じて使い分けられます。

内視鏡的クリップ法

最も一般的に行われる止血術です。内視鏡の先端から「クリップ」と呼ばれる金属製の小さなクリップ(洗濯ばさみのようなもの)を出し、出血している血管やその周りの粘膜を直接挟み込んで物理的に圧迫し、止血します。 非常に確実性が高く、第一選択となることが多い手技です。クリップは数週間から1ヶ月程度で自然に脱落し、便と一緒に排出されます。

高周波凝固法・アルゴンプラズマ凝固法

高周波電流を流せる特殊な器具(鉗子)で出血点を掴んだり、アルゴンガスを介してプラズマを発生させたりして、出血部位の組織を熱で焼灼(しょうしゃく)し、血管を塞いで止血する方法です。 じわじわとした広範囲の出血に対して有効な場合があります。

薬剤局所注入法

内視鏡の先端から細い針を出し、出血部位の粘膜下層に薬剤を注入する方法です。血管を強力に収縮させる薬剤(アドレナリン・ボスミン)や、組織を固めてしまう薬剤(純エタノール)などを注入して止血を図ります。

これらの内視鏡的止血術の成功率は非常に高く、ほとんどの症例で出血をコントロールすることが可能です。

その他の治療法(内視鏡治療が困難な場合)

極めて稀ですが、内視鏡的止血術で出血をコントロールできない場合や、出血性ショックで全身状態が悪く内視鏡検査自体が危険な場合には、他の治療法が検討されます。

IVR(血管内治療)

足の付け根の動脈などから「カテーテル」という細い管を血管内に挿入し、X線透視画像を見ながら出血の原因となっている血管まで進めます。そして、塞栓物質(コイルやゼラチンスポンジなど)を詰めて血流を人工的に遮断し、止血する治療法です。 Interventional Radiology(インターベンショナル・ラジオロジー)の略で、放射線科医が専門に行います。

外科手術

上記の内視鏡治療やIVRでも止血できない、コントロール不能な大量出血が続く場合には、最終手段として開腹または腹腔鏡下に直接出血部位を確認し、糸で縫って止血する外科手術が行われることがあります。しかし、現代の医療においてマロリーワイス症候群で手術が必要となるケースは極めて稀です。

マロリーワイス症候群の予後と経過

適切な診断と治療が行われれば、ほとんどのマロリーワイス症候群は後遺症なく治癒し、予後は良好です。

入院期間と絶食日数

出血の程度や治療内容によって異なりますが、一般的な経過は以下の通りです。

  • 絶食期間: 保存的治療の場合や、内視鏡的止血術が成功した場合、通常、治療後24〜48時間(1〜2日間)は絶食となります。再出血がないことを確認した後、まずは水分(飲水)から開始し、問題がなければ流動食(重湯など)、三分粥、五分粥、全粥、常食へと段階的に食事の形態を上げていきます。
  • 入院期間: 経過が順調であれば、おおむね3日間〜1週間程度で退院できることが多いです。ただし、貧血が高度で輸血を要した場合や、基礎疾患がある場合などは、入院期間が長くなることもあります。

死亡率と重症化

マロリーワイス症候群自体の死亡率は非常に低く、1%未満とされています。
ただし、注意が必要なケースもあります。高齢者や、肝硬変、心臓病、腎臓病などの重篤な基礎疾患を持つ患者さん、あるいは血液をサラサラにする薬を服用中の患者さんでは、出血が重症化しやすく、予後が悪化する可能性があります。特に肝硬変があると血液が固まりにくいため、止血が困難になることがあります。

退院後の生活における注意点

退院後は、再発を防ぐための生活習慣の見直しが何よりも重要です。

  • 禁酒・節酒: 最大の原因であるアルコールを控えることが最も重要です。 可能であれば禁酒することが望ましいですが、難しい場合でも、嘔吐するほどの量を飲むことは絶対に避けるべきです。
  • 暴飲暴食を避ける: 一度に大量の食事をとると、胃に大きな負担がかかり、嘔吐を誘発しやすくなります。腹八分目を心がけましょう。
  • 腹圧のかかる行為を避ける: 咳や便秘が続く場合は、それぞれの原因に対する治療(鎮咳薬、緩下剤など)を行い、腹圧が過度にかからないようにコントロールすることも大切です。

マロリーワイス症候群は再発する?

はい、再発する可能性は十分にあります。 マロリーワイス症候群は、裂けた粘膜が治れば完治しますが、病気の原因は体質ではなく、嘔吐という物理的なストレスです。したがって、原因となる生活習慣(特に飲酒習慣)が改善されなければ、再び激しい嘔吐を繰り返し、同じように粘膜が裂けて出血するリスクは常にあります。 喉元過ぎれば熱さを忘れることなく、退院後も節制を心がけることが重要です。

マロリーワイス症候群に関するよくある質問

Q. マロリーワイス症候群は自然治癒しますか?

A. はい、出血の大部分(約80〜90%)は自然に止血し、治癒します。しかし、残りの10〜20%は自然に止まらず、大量出血に至る危険性があります。どちらのケースになるかを自分で判断することは不可能です。吐血や黒色便があった場合は、絶対に自己判断せず、必ず速やかに医療機関を受診してください。

Q. マロリーワイス症候群の死亡率はどのくらいですか?

A. 死亡率は非常に低く、1%未満であり、基本的には予後良好な疾患です。ただし、大量出血による出血性ショックに陥った場合や、肝硬変などの重篤な基礎疾患をお持ちの場合は、命に関わることもあります。早期受診、早期治療が重要です。

Q. マロリーワイス症候群になりやすい人(好発年齢・性別)は?

A. 30〜50代の男性に多く見られる傾向があります。 これは、この年代の男性に飲酒習慣がある方が多いことと強く関連していると考えられています。もちろん、つわりが原因で若い女性に発症することもありますし、年齢や性別を問わず誰にでも起こる可能性のある病気です。

Q. 治療中の絶食は何日くらい必要ですか?

A. 出血が止まり、全身状態が安定していれば、通常1〜2日程度の絶食で済みます。 その後、医師の許可のもとで水分から摂取を再開し、段階的に食事の形態を上げていきます。重症度や治療内容によって絶食期間は異なりますので、医師の指示に従ってください。

Q. マロリーワイス症候群は何科を受診すればよいですか?

A. 消化器内科または胃腸科を受診してください。吐血の量が多い、めまいがするなどの症状が強い緊急の場合は、迷わず救急外来を受診するか、救急車を呼んでください。

まとめ:吐血は危険なサイン、自己判断せず消化器内科へ

マロリーワイス症候群は、激しい嘔吐などをきっかけに食道と胃のつなぎ目が裂けて出血する病気です。多くの場合、適切な治療で後遺症なく回復する予後良好な疾患ですが、その一方で大量出血により命に関わる可能性も秘めています。

吐血や黒色便は、消化管からの出血を示す、決して見過ごしてはならない危険なサインです。

「お酒のせいだろうから、少し休めば大丈夫」「血は止まったみたいだから問題ない」といった安易な自己判断が、最も危険です。ご自身の命を守るために最も重要なことは、症状に気づいたら直ちに消化器内科などの専門医療機関を受診することです。専門医による適切な診断と治療を受け、再発予防のための生活習慣改善に努めましょう。


免責事項:
本記事は医学的な情報の提供を目的としており、診断や治療の代わりとなるものではありません。医学的な判断や治療については、必ず医師や専門家にご相談ください。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次