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医療機関名
●●クリニック
診療科目
内科・糖尿病内科・内分泌内科
オンライン診療時間
9:00〜22:00(年中無休)
医療機関届出番号
第●●●●号
所在地
東京都●●区●●1-2-3 ●●ビル●F

痩せていても糖尿病になる理由とは?原因と意外なリスクを解説

「糖尿病は太っている人がなる病気」と思っていませんか。実はこの認識は正確とは言えません。医療現場では、見た目は痩せていても糖尿病を発症する方を少なからず診察します。特に日本人を含むアジア人は、体重が標準でも糖尿病になりやすい体質を持つことが分かっています。

その背景には、インスリン分泌能力の違いや筋肉量の少なさ、内臓脂肪のつき方といった、体型だけでは判断できない要因が関係しています。「痩せている=健康」と思い込んでいると、血糖値の異常に気づくのが遅れてしまうこともあります。

この記事でわかること
・痩せていても糖尿病になる理由と日本人特有の体質
・「痩せ型糖尿病」と肥満型糖尿病の違い
・体重を減らさずに行う正しい対策と生活改善のポイント

本記事では、なぜ痩せているのに糖尿病を発症するのかを医学的な視点から分かりやすく解説し、日常生活で実践できる対策まで詳しく紹介します。体型に安心せず、今後の健康を守るための正しい知識として、ぜひ最後までご覧ください。

目次

痩せていても糖尿病になる主な3つの理由

「糖尿病=太っている人の病気」というイメージを持つ方は少なくありません。しかし実際には、痩せている方でも糖尿病を発症するケースは珍しくないのが現実です。特に日本人を含むアジア人では、その傾向が顕著に見られます。

その背景には、体重や見た目だけでは判断できない体質的・代謝的な要因が関係しています。ここでは、医療現場でも重視されている3つの主な理由について解説します。

理由1:インスリン分泌能力の低下(遺伝的要因)

日本人は欧米人と比べ、血糖値を下げるホルモン「インスリン」を分泌する能力がもともと低い傾向があることが分かっています。これは遺伝的な体質によるものです。

インスリンは、食事によって上昇した血糖値を正常範囲に戻す唯一のホルモンです。この分泌量が少ないと、食後の血糖値を十分に下げきれず、高血糖状態が続きやすくなります。

医師の視点
親や兄弟に糖尿病の方がいる場合、インスリン分泌能力が低い体質を受け継いでいる可能性があります。

つまり、同じ食事内容でも、日本人は血糖値が上がりやすい体質であることを理解しておく必要があります。

理由2:筋肉量の不足によるブドウ糖の処理能力の低下

食事から摂取した糖(ブドウ糖)は、主に筋肉で消費・貯蔵されます。実は、体内で消費される糖の約7割は筋肉によるものです。

痩せ型の方、特に運動習慣が少ない方は、筋肉量が不足しているケースが多く見られます。その結果、血液中の糖を処理しきれず、食後高血糖が起こりやすくなります。

見た目が細くても「筋肉が少ない体」は、血糖コントロールの面では不利な状態

体重やBMIだけでなく、筋肉量という視点を持つことが、痩せ型糖尿病の予防・改善には欠かせません。

理由3:内臓脂肪の蓄積(隠れ肥満)

体重は標準でも、お腹まわりに脂肪がついている状態を「隠れ肥満」と呼びます。内臓脂肪はインスリンの働きを妨げる物質を分泌するため、糖尿病リスクを高めます。

痩せていても運動不足や偏った食生活が続くと、内臓脂肪が蓄積し、インスリン抵抗性が生じることがあります。

手足が細くてもお腹が出ている場合は、体型だけで安心せず、内臓脂肪の状態を意識することが重要です。

「痩せ型糖尿病」とは?肥満型との違いと特徴

糖尿病は一つの病気に見えて、発症の仕組みには違いがあります。特に臨床現場では、「痩せ型」と「肥満型」で治療方針が変わることも少なくありません。

痩せ型糖尿病の特徴は、インスリンを十分に作れない「インスリン分泌不全」が中心である点です。

特徴項目 痩せ型糖尿病 肥満型糖尿病
主な原因 インスリン分泌不全 インスリン抵抗性
体型(BMI) 25未満が多い 25以上が多い
発症メカニズム 膵臓のβ細胞の機能が低下し、インスリンを十分に作れない 内臓脂肪の蓄積などにより、インスリンの効きが悪くなる
インスリン濃度 低い傾向 正常~高い傾向(代償性高インスリン血症)
治療アプローチ 筋肉量を増やし糖の処理能力を高める、膵臓の負担を減らす食事、インスリン分泌促進薬など 体重減少、食事療法、運動療法、インスリン抵抗性改善薬など

痩せ型糖尿病に多い「インスリン分泌不全」タイプ

痩せ型糖尿病の最大の特徴は、インスリンを十分に分泌できない「インスリン分泌不全」が中心となっている点です。血糖値が上昇しても、それに見合った量のインスリンを膵臓から分泌できません。

血糖値は上がっているにもかかわらず、下げるためのインスリンが足りないため、高血糖が長く続いてしまいます。

痩せ型に多い背景
・遺伝的にインスリン分泌能力が低い
・筋肉量が少なく、血糖処理能力が低い
・若い頃から食事量が少ない、欠食が多い

このタイプでは、体重を減らす必要はほとんどありません。むしろ、膵臓に過度な負担をかけない生活と、筋肉量を維持・増加させることが治療の基本となります。

肥満型糖尿病に多い「インスリン抵抗性」タイプ

一方、肥満型糖尿病で中心となるのは、インスリンは分泌されているのに効きが悪くなる「インスリン抵抗性」です。特に内臓脂肪が多い場合、この傾向が強くなります。

インスリン抵抗性の状態では、膵臓は血糖値を下げようとして、さらに多くのインスリンを分泌します。その結果、膵臓に大きな負担がかかり、長期的には分泌能力そのものも低下していきます。

肥満型では「インスリンが足りない」のではなく、「インスリンが効かない」ことが問題

このタイプの治療では、内臓脂肪を減らすこと=体重管理が最優先となります。食事療法と運動療法によって体重を5〜10%落とすだけでも、血糖コントロールが大きく改善するケースは少なくありません。

痩せ型と肥満型の違いを正しく理解することが重要

痩せ型糖尿病と肥満型糖尿病は、同じ「糖尿病」という診断名であっても、対策を誤ると逆効果になることがあります。

例えば、痩せ型の方が自己判断で強い糖質制限や過度な減量を行うと、筋肉量がさらに減り、血糖コントロールが悪化する恐れがあります。

そのため、体型だけで治療法を決めつけないことが重要です。血液検査の結果や生活習慣、家族歴などを総合的に評価し、自分に合った改善策を選ぶ必要があります。

痩せている女性が糖尿病で注意点と特有の症状

痩せ型糖尿病は、特に女性の場合、発見が遅れやすい傾向があります。見た目が細いことや体重が軽いことから、「自分は糖尿病とは無縁」と考えてしまい、血糖値の異常を見過ごしてしまうケースも少なくありません。

しかし実際には、痩せている女性ほど、体質や生活習慣の影響を強く受けやすいことが分かっています。ここでは、女性ならではの注意点と、見逃されやすい症状について解説します。

過度なダイエットが引き起こすリスク

美容や体型維持を目的に、食事量を極端に減らすダイエットを続けている女性は少なくありません。しかし、「食べないダイエット」は、痩せ型糖尿病のリスクを高める要因になります。

エネルギーや栄養が不足すると、体は筋肉を分解して不足分を補おうとします。筋肉は血糖を処理する重要な臓器であるため、筋肉量の低下はそのまま血糖コントロール能力の低下につながります。

注意したいポイント
・食事量が少ない状態が長期間続いている
・主食やたんぱく質を意識的に避けている
・体重は軽いが、疲れやすさを感じやすい

さらに、無理な食事制限のあとにリバウンドを繰り返すと、筋肉は戻らず脂肪だけが増えやすくなります。こうした体重変動の繰り返しは、膵臓に負担をかけ、インスリン分泌能力を低下させる要因となります。

女性に見られやすい糖尿病の初期症状

糖尿病の初期症状として知られる「喉の渇き」「頻尿」「倦怠感」などは、女性の場合、体調不良やホルモンバランスの乱れと誤解されやすい傾向があります。

加えて、女性には次のような症状が現れることがあります。

  • 感染症を繰り返しやすくなる
    高血糖状態が続くと免疫力が低下し、カンジダ膣炎や膀胱炎などを繰り返すことがあります。
  • 皮膚のかゆみや乾燥
    血行不良や脱水の影響で、皮膚が乾燥しやすくなり、かゆみが出る場合があります。
  • 月経不順・月経異常
    血糖値の乱れはホルモンバランスにも影響し、月経周期が不安定になることがあります。

    これらの症状が複数当てはまる場合、糖尿病が隠れている可能性も否定できません。

    「婦人科の問題だと思っていたら、実は糖尿病が原因だった」というケースもあります。気になる症状が続く場合は、早めに内科や糖尿病専門医に相談することが大切です。

    痩せている女性ほど「早期チェック」が重要

    痩せ型糖尿病は、自覚症状が乏しいまま進行することも多く、気づいたときには血糖値が大きく乱れている場合があります。特に女性は、体型への安心感から検査を後回しにしがちです。

    健康診断で血糖値やHbA1cを指摘されたことがある場合や、家族に糖尿病の方がいる場合は、症状が軽いうちから定期的にチェックを行うことが、将来の合併症を防ぐうえで重要です。

    痩せ型糖尿病の人が実践すべき対策|食事・運動のポイント

    痩せ型糖尿病の対策で最も重要なのは、「体重を減らすこと」ではありません。むしろ、筋肉量を維持・増加させ、血糖を処理できる体をつくることが治療と予防の中心となります。

    そのため、肥満型糖尿病と同じ感覚で食事制限や過度な運動を行うと、かえって血糖コントロールが悪化することもあります。ここでは、痩せ型糖尿病の方が意識すべき食事と運動のポイントを整理して解説します。

    痩せ型糖尿病の食事療法|糖質制限は必要?

    痩せ型糖尿病の方が自己判断で厳しい糖質制限を行うと、エネルギー不足に陥りやすくなります。その結果、筋肉が分解され、血糖処理能力がさらに低下する恐れがあります。

    痩せ型糖尿病では「糖質を極端に減らす」より「栄養バランスを整える」ことが重要

    食事療法の基本は、必要なエネルギーをしっかり確保しながら、血糖値が急上昇しにくい食べ方を身につけることです。

    総エネルギー摂取量を確保する

    まず大前提として、活動量に見合ったエネルギー摂取が欠かせません。食事量が不足すると、体は筋肉を分解してエネルギーを補おうとします。

    痩せ型糖尿病の方は、「食べ過ぎない」よりも「食べなさすぎない」ことを意識してください。1日3食を基本とし、欠食やまとめ食いを避けるだけでも血糖の安定につながります。

    たんぱく質を意識して摂取する

    筋肉の材料となるたんぱく質は、痩せ型糖尿病の方にとって特に重要な栄養素です。毎食、主菜としてたんぱく質源を取り入れることを意識しましょう。

    • 動物性たんぱく質:魚、赤身肉、卵、乳製品
    • 植物性たんぱく質:豆腐、納豆、豆乳などの大豆製品

      たんぱく質を十分に摂ることで、筋肉量の維持・増加を助け、結果として血糖値の安定につながります。

      食物繊維を先に食べる工夫

      食物繊維は糖の吸収を穏やかにし、食後血糖値の急上昇を抑える働きがあります。特に水溶性食物繊維は効果的です。

      • 野菜(葉物野菜、ブロッコリーなど)
      • きのこ類
      • 海藻類
      • 大麦・もち麦

        食事の最初にこれらを食べる「ベジファースト」を意識するだけでも、血糖コントロールの改善が期待できます。

        痩せ型糖尿病の運動療法|有酸素運動より筋トレが重要

        痩せ型糖尿病の運動療法では、体重を減らすことよりも、筋肉量を増やし、血糖を取り込める体をつくることが目的となります。

        そのため、有酸素運動だけでなく、筋力トレーニングを積極的に取り入れることが重要です。

        自宅でできる筋トレの例

        • スクワット
          下半身の大きな筋肉を鍛える基本的な運動です。10回×2〜3セットを目安に、無理のない範囲で行いましょう。
        • プッシュアップ(腕立て伏せ)
          膝をついた状態でも構いません。胸や腕の筋肉を刺激します。
        • プランク
          体幹を鍛え、姿勢の安定にもつながります。30秒程度から始めましょう。
          運動のポイント
          ・週2〜3回を目安に継続する
          ・疲労感が強い日は無理をしない
          ・「続けられる強度」を優先する

          有酸素運動は「補助」として取り入れる

          ウォーキングなどの有酸素運動も血糖コントロールに有効ですが、痩せ型糖尿病ではやりすぎに注意が必要です。

          特におすすめなのは、食後30分〜1時間以内の軽いウォーキングです。20分程度歩くだけでも、食後血糖値の上昇を抑える効果が期待できます。

          糖尿病で痩せてしまった人が健康的に太るには?

          糖尿病の進行により体重が減ってしまった場合、「とにかく食べて体重を戻せばよい」と考えがちですが、その方法には注意が必要です。無計画に食事量を増やすと、血糖値を悪化させるだけで、健康的な体重回復にはつながらないことがあります。

          糖尿病のある方が目指すべきなのは、脂肪を増やすことではなく、筋肉量を回復させながら体重を戻すことです。そのためには、食事と運動を組み合わせた段階的なアプローチが欠かせません。

          血糖値を上げにくい「間食(補食)」を活用する

          1日3食だけでは十分なエネルギーやたんぱく質を摂取できない場合、糖値の急上昇を起こしにくい間食(補食)を取り入れることが有効です。

          食事と食事の間が長く空くと、次の食事で血糖値が急激に上がりやすくなります。補食は体重回復だけでなく、血糖値を安定させる目的でも役立ちます。

          おすすめの補食例
          ・無調整豆乳、牛乳
          ・プレーンヨーグルト
          ・チーズ、ゆで卵
          ・素焼きナッツ(少量)

          これらは糖質が比較的少なく、たんぱく質や脂質を中心にエネルギーを補給できるため、痩せてしまった糖尿病の方にも取り入れやすい食品です。

          「筋トレ+食事」で体重を戻す意識を持つ

          健康的に体重を増やすためには、筋肉に刺激を与え、その回復に必要な栄養を補給するという流れが重要です。単に食べるだけでは、筋肉は増えにくく、脂肪がつきやすくなってしまいます。

          軽い筋力トレーニングを行ったあとに、たんぱく質を含む食事や補食を摂ることで、筋肉の修復と成長が促されます。運動後は筋肉が栄養を取り込みやすい状態になるため、このタイミングを意識することがポイントです。

          「動いてから食べる」習慣が、血糖値を安定させながら体重を戻す近道

          体調や血糖値の状態によっては、運動内容や食事量の調整が必要になるため、無理をせず、主治医や管理栄養士と相談しながら進めることが望ましいでしょう。

          急激な体重増加を目指さないことが重要

          体重を早く戻したいという気持ちから、短期間での体重増加を目指す方もいますが、これはおすすめできません。急激な体重増加は、血糖コントロールの悪化や脂肪肝のリスクにつながる可能性があります。

          目安としては、数週間から数か月かけて、少しずつ体重を戻していくイメージが適切です。体重の変化だけでなく、体調や血糖値の推移を確認しながら進めることが、安全で確実な方法といえます。

          糖尿病で急に痩せた場合に考えられる原因とは?

          「特にダイエットをしていないのに体重が減ってきた」「食事量は変わらないのに痩せていく」。このような体重減少は、糖尿病が関係している可能性があります。

          体重の変化は体からの重要なサインです。とくに短期間での体重減少は、糖尿病の進行や重症化を示しているケースもあり、注意が必要です。

          1型糖尿病の可能性

          急激な体重減少がみられる場合、まず考えなければならないのが1型糖尿病です。1型糖尿病は、自己免疫などの影響により、膵臓でインスリンがほとんど分泌されなくなる病気です。

          インスリンが不足すると、血液中に糖があっても細胞がエネルギーとして利用できません。その結果、体は不足したエネルギーを補うために、筋肉や脂肪を急激に分解し始めます。

          食事をしているのに体重が急に減る場合は、体がエネルギー不足に陥っているサイン

          1型糖尿病では、体重減少に加えて、強い喉の渇き、多飲、多尿、全身の強い倦怠感などが現れることがあります。

          放置すると命に関わる状態に進行することもあるため、これらの症状がある場合は早急な受診が必要です。

          コントロール不良の2型糖尿病

          2型糖尿病であっても、血糖コントロールが著しく悪化すると、体重が減少することがあります。これは「糖毒性」と呼ばれる状態で、高血糖が続くことで膵臓が疲弊し、インスリン分泌能力が大きく低下していることを示します。

          この段階では、インスリンの作用が足りず、体はブドウ糖を十分に利用できません。その結果、1型糖尿病と同様に、筋肉や脂肪がエネルギー源として分解され、体重が減っていきます。

          注意すべきポイント
          ・血糖値やHbA1cが急に悪化している
          ・以前より疲れやすくなった
          ・食欲はあるのに体重が減る

          このような場合、内服薬だけでは血糖コントロールが難しくなり、インスリン治療が必要になることもあります。体重減少は決して「良い変化」ではなく、病状が進行しているサインとして受け止めることが重要です。

          急な体重減少は「様子見」しないことが大切

          体重の減少が続いているにもかかわらず、「忙しいから」「年齢のせい」と自己判断してしまうと、受診が遅れることがあります。しかし、糖尿病における体重減少は、体が限界に近づいているサインであることも少なくありません。

          特に、数週間から数か月で明らかに体重が落ちている場合は、早めに医療機関で血糖値やHbA1cを確認することが重要です。

          痩せ型糖尿病に関するよくある質問

          痩せ型糖尿病については、「本当に自分が当てはまるのか」「生活をどう見直せばよいのか」といった疑問を持つ方が多く見られます。ここでは、診察時によく寄せられる質問を中心に、分かりやすく解説します。

          Q1. ガリガリなのに糖尿病になるのはなぜですか?

          痩せていても糖尿病になる主な理由は、インスリンを分泌する能力がもともと低い体質と、筋肉量の不足です。

          日本人は欧米人に比べて、血糖値を下げるインスリンの分泌量が少ない傾向があります。そのため、見た目が細くても、食後の血糖値を十分に下げられず、高血糖が続くことがあります。

          また、筋肉は血糖を消費する最大の臓器です。筋肉量が少ないと、摂取した糖を処理しきれず、血糖値が上がりやすくなります。体型ではなく体質と筋肉量が重要と考える必要があります。

          Q2. 糖尿病になると痩せるのはなぜですか?

          糖尿病が進行すると、インスリンの働きが不足し、血液中の糖をエネルギーとして利用できなくなります。その結果、体は不足したエネルギーを補うために、筋肉や脂肪を分解してエネルギー源にするようになります。

          この状態が続くと、食事量が変わらなくても体重が減少します。特に、「食べているのに痩せる」「短期間で体重が落ちる」場合は、血糖コントロールが大きく乱れている可能性があります。

          意図しない体重減少は、糖尿病が進行しているサインのひとつ

          Q3. 糖尿病と体型は本当に関係ないのでしょうか?

          体型と糖尿病は無関係ではありませんが、「太っている=糖尿病」「痩せている=安全」という単純な関係ではありません

          肥満、特に内臓脂肪型肥満は2型糖尿病の大きなリスク因子です。一方で、日本人では痩せていても、遺伝的要因や筋肉量の少なさによって糖尿病を発症するケースが多く見られます。

          体重やBMIはあくまで目安のひとつです。健康診断の数値、生活習慣、家族歴などを総合的に見て判断することが重要です。

          Q4. 痩せ型糖尿病でも運動は必要ですか?

          はい、必要です。ただし目的は「体重を減らすこと」ではありません。痩せ型糖尿病における運動の目的は、筋肉量を増やし、血糖を処理できる体をつくることです。

          ウォーキングなどの有酸素運動に加え、スクワットや軽い筋力トレーニングを取り入れることで、血糖コントロールの改善が期待できます。無理のない範囲で継続することが大切です。

          Q5. 痩せ型糖尿病は放置するとどうなりますか?

          痩せ型糖尿病であっても、血糖値が高い状態が続けば、網膜症・腎症・神経障害といった合併症のリスクは高まります。体型に関係なく、血糖コントロールが不十分であれば合併症は進行します。

          早期に気づき、生活習慣の見直しや適切な治療を行えば、健康な人と変わらない生活を送ることも十分可能です。「痩せているから大丈夫」と自己判断せず、定期的な検査と医師のフォローを受けることが重要です。

          まとめ:痩せていても糖尿病リスクはゼロではない。気になる変化は早めに相談を

          「糖尿病は太っている人の病気」というイメージは、必ずしも正しくありません。日本人を含むアジア人では、痩せていても糖尿病を発症しやすい体質を持つ方が少なくないことが分かっています。

          その背景には、インスリン分泌能力の低さ、筋肉量の不足、内臓脂肪の蓄積といった、体重や見た目だけでは判断できない要因があります。「痩せているから大丈夫」と思い込んでしまうことが、発見の遅れにつながるケースもあります。

          この記事の重要ポイント
          ・痩せていても糖尿病になることは珍しくない
          ・痩せ型糖尿病では「体重を減らさない対策」が重要
          ・筋肉量の維持・増加が血糖コントロールの鍵

          特に、急な体重減少強い喉の渇き・頻尿・疲れやすさといった症状がある場合は、体が発している重要なサインかもしれません。これらを放置せず、早めに医療機関で血糖値やHbA1cを確認することが大切です。

          糖尿病は、早期に気づき、適切な対策を行えば、長く安定した生活を送ることが可能な病気です。体型にとらわれず、日々の体調や検査結果に目を向け、不安があれば専門医に相談することを心がけましょう。



          ※本記事は糖尿病に関する一般的な情報提供を目的としており、診断や治療を代替するものではありません。実際の治療や生活指導については、必ず医師の判断に従ってください。

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